お香について


お香とは
お香とは、伽羅、沈香、白檀などの天然香木の香りのこと。
日本では産出しない東南アジア産の天然香木は大変希少で、その芳香は古くから大変尊ばれました。
日本におけるお香は、奈良朝に仏教とともに中国を経て伝わり、仏事を荘厳にする「供香」貴族の風雅「薫物」として広まりました。 のちに香木の香りを鑑賞する「香道」として茶道、華道、能などとともに独自の発展を遂げ、庶民も身につける教養となり、日本の三大芸道の一つとして今日に伝わります。
香りの効能
嗅覚は人間の五感のひとつで、多種多様な香りを聞き分ける、あるいはある香りを追求することにより新しい感受性が生まれ、肉体的にも精神的にも種々の効用があります。
お香は、ストレス漬けの現代日本人の神経を和ませ、日本人が本来もつ精神文化をよみがえらせる効用もあるのです。
香の十徳
お香の世界には、「香十徳(こうじっとく)」という「お香の十の効能」を説いた詩文があります。
「香十徳」は11世紀の中国王朝の北宋の詩人、黄庭堅によってついて記され、
日本では室町時代に「一休さん」のお話で有名な一休宗純によって広められました。
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- (一)感格鬼神
- (二)清淨心身
- (三)能除汚穢
- (四)能覺睡眠
- (五)静中成友
- (六)塵裏偸閑
- (七)多而不厭
- (八)寡而為足
- (九)久蔵不朽
- (十)常用無障
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- (一)感覚を研ぎ澄ます(感は鬼神に格る)
- (二)心身を清浄にする
- (三)よく汚穢を除く
- (四)よく眠気を覚ます
- (五)孤独感を癒す
- (六)多忙時でも心を和ます
- (七)多くあっても邪魔にならない
- (八)少量でも芳香を放つ
- (九)久しく蔵しても朽ちず
- (十)常に用いて障なし